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『ソラニン』/浅野いにお

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)

いい歳こいてどこか学生気分を引きずったままの生活、モラトリアムって言ったらいいのか、ゆるゆるだらだらと流れていく時間やその雰囲気が、なんていうか、恐ろしく心地よい。以前はてなの日記で誰かが、「このマンガのゆるい空気感やら炸裂する自己愛やらに同調したり感動したりするのは、ほとんどオナニーみたいなもんだ」的なことを書いていたのを覚えているのだけど、まさしくその通りで、このゆるさには自らの怠惰を肯定するような要素、ちょっと嫌らしい自己愛を許容するような要素が内包されている。

先の見えない感じ、それでもだるく続いていく日常。自由なはずなのに息の詰まりそうな、生活とか人生とかいう厄介なやつら。それに対して登場人物のそれぞれが葛藤しながらもなんとかやっていこうとしたりしなかったりする、その青臭くも切実な描写こそがこの作品の肝なのだとおもう。俺にとっては、主人公がその厄介なやつらとようやく対峙しようと決断したその場面こそがクライマックスであって、その後物語が急転する辺りの展開については、カタルシスを得るための、あるいは明るいエンディングを迎えるための、ちょっと強引な付け足しというか、不必要な延長戦のように感じられた。

それでもおもしろく読めてしまうのは、オナニーだろうが何だろうが、あーわかるわかる、こういう気持ちになったりするもんだよね、ってなんだかんだで共感できてしまうところがあるからなんだろうな、とおもう。やっぱり20代っていろいろとしんどい時期なのかもね…なんて、同世代の人のはてなの日記やtwitterを読んでいるときに感じたりするようなことを、ぼんやりとおもったりしたのだった。


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