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『文章の品格』/林望

『文章の品格』/林望

またしても、林の文章術本。図書館で、『文章術の千本ノック』のとなりにおいてあったので、いっしょに借りてきたのだ。100ページ程度の小さくてシンプルな本だから、1時間もかからずに読めてしまいそうな一冊だけれど、いちおう、本書における林の主張について、メモを残しておくことにする。

・品格のある、まともな文章を書くためには、まずは日常の話し言葉をまともなものにしていかなくてはならない。ふだんから、下品な言葉を使わないよう心がけること。
・感情語(うれしい、かなしいなど)の利用はできるだけ避けること。その代わりに、具体的な描写によって、読者に作者と同じ経験を追体験させるよう意識すること。
・自分の好きな作家の文章を筆写してみることの意味は大きい。その作業によって、作家の文章の呼吸(漢字とかなのバランス、句読点のタイミングなども含めて)を体感し、体得することができるだろう。
・日本の古典文学のクオリティははすばらしいので、つべこべ言わず、ぜひ読んでおくこと。

…というわけで、本書にもとくに真新しい主張というのはない。何か一冊でも文章読本系の本を読んだことのある人なら、読んでもあまり得るものはないかもしれない。まあ、ますますもって国語の先生っぽい林の口調をたのしむという意味では、お手軽だし、悪くはないかも。


『文章術の千本ノック どうすれば品格ある日本語が書けるか』/林望

『文章術の千本ノック どうすれば品格ある日本語が書けるか』/林望

林望の文章術本。”品格”ある文章を書くためには、というのをテーマに、林が大学やカルチャーセンターで行った講座の内容をまとめた一冊だ。なにしろ、”品格”がテーマなので、先日感想を書いた永江朗の『<不良>のための文章術』とは方向性がまったく異なっており、その違いなんかをかんがえながら読むのはおもしろかった。

まず、こういうのは品がないということをちょっとお話しておきましょう。これは言わば反面教師ですから、決して真似してはいけません。
まずは、変に悪ずれした文章。
これは雑誌の文章なんかによくあらわれてきます。ああいうのを書いているのはプロのライターなんです。プロのライターなんだけれども、雑誌というのは、非常に品格のないライターが書いていることが多いんです。こう言っちゃ雑誌の編集者に悪いけれども、これは事実だからしようがない。(p.74)

事実だからしようがない、とか言っている林自身もじゅうぶん品がないとおもうけれど、それはまあいいか。たとえば、永江からすれば、ライターにとって品格ほど役に立たないものなどない、品がよければ読者は読んでくれるのか?いくら品がよくたって人にスルーされる文章じゃ意味ないんだよ、ってことになるのだろうけれど、いやいや、そんなばかなことを言っちゃあいけません、と林は言うわけである。

本書の前半では、上手なエッセイの書き方のアドバイスがまとめられている。林は、エッセイを書く際には、敬体(です・ます調)の文章は素人にはあまりおすすめしない(常体と比べて、無駄が多く、文章にスピード感がなくなる)、体言止めや、中止法(「~してみては?」とか、「~だそう。」といった、文章の最後の部分が省略されているもの)のような用法も、下品だからやめなさい、と言う。そして、できるだけ描写を多くして、概念的な文章、自分の感情に溺れるような文章は避け、言葉を切り詰めて使いなさい、と言う。まあもっともな話というか、一般的なアドバイスばかりなので、このあたりにはとくに新鮮さというのはない。

後半部は、上記のような林のアドバイスを受けた受講者が書いてきた作文に対し、林が赤を入れる、という構成になっている。本書の読みどころは、やはりここだろう。ほとんどの作文には赤が入りまくっているのだけれど、さすがに納得できる指摘ばかりで、うまいなーとおもわされる。ただ、文章を書く人間にとっての問題は、どうやって自分自身の力だけで林が赤で書いているような文章にまでたどり着けるか、ということだ。ここがいまいち、ってわかっていても、どう直せばいい文章になるのか、いくら悩んでも閃かないときって、やっぱりあるんだよなー。

君たち、せっかく頭があるんだからもうちょっとかんがえて文章を書きなさいよ、と言わんばかりの上から目線の口調には時折いらっとさせられるけれど、ちょっと嫌味な国語の先生だとおもえば、なかなかたのしく読める一冊だとおもう。


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