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『息もできない』

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渋谷シネマライズにて。評判通りの、ぐっとくる映画だった!物語としては、まあごくごくありきたりな、定型から外れることのほとんどない作品なのだけど、なんていうか、全体にしっかりと血が通っている、体温が感じられる。そんな風におもえるところがよかった。

借金の取り立てを仕事にしている青年と、超強気な高校生の女の子がふとしたきっかけで出会う。どういうわけか交流を持つようになったふたりは、それぞれヘビーな問題を抱えながらも、少しずつ心を通わせていくのだったが…!ってストーリーはシンプルかつ王道を行くもので、展開に意外性みたいなものはぜんぜんない。ただ、その代わりにあるのは激し過ぎるくらいの熱や痛みであって、物語が単なる”題材”になっていない感じ、語られるべくして語られている感じがどのシーンからも溢れ出てくるようだった。感情がほとばしっているようなシーンでなくても、切実さというのはきちんと伝わってくるんだなー、なんて、映画館を出たあと、渋谷の街をひとりふらふらと歩きながらおもったりもした。

監督で主演のヤン・イクチュンはほんとにどう見たってヤクザそのもの(っていうかこの人、俺がおととし旅行していたときに、神戸の銭湯でからんできたその筋の人にものすごく似ていて衝撃だった!背中や脇にいやな汗をかいたあの感じをおもい出してしまった…)、ってな熱演だし、ヨニをはじめとする、彼と交流を持ったり持たなかったりする人々の表情もとてもいい。漢江のシーンではおもわずふっと泣いてしまった。

いつだって現実というやつは厳しく、簡単に人のことを打ちのめす。打ちのめされながらも、それでもやっぱり人は生活を続けていかなくちゃいけないし、続けていく他ない。そういうことを教えてくれているような気がした。作品の熱さが身体に染み入るような、悲しくもやさしい、好きな映画だった。


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