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『カールじいさんの空飛ぶ家』

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109シネマズMM横浜にて。とにかくていねいに作り込まれた感のある、いい映画だった。あんなのぜったい泣いちゃうよ!やばいよ!ってさんざん話題になっていた冒頭8分間のインパクトはたしかに凄くて、俺は泣きこそしなかったものの、そのクオリティの高さにはひたすら圧倒される気分だった。カールじいさんのこれまでの人生が、隅々まで精緻に計算されたダイジェスト描写によって描かれていくなか、大晦日の夕方、3、4割くらいの入りだった場内からも、鼻をすんすん言わせる音が聞こえてきていた。

ただ、その冒頭を除けば、そんなにお涙頂戴的な描写があるわけではなくて、あとはもうディズニー映画の文法に則った感じでカールじいさんの大冒険が繰り広げられることになる。大量の風船に繋がれて空を飛んでいく家のイメージは素晴らしく、カールじいさんが風船やらカーテンやらを自在に操っては家をぶんぶん飛ばしていくようすなんて、わくわくしてしまう。CGの質感なんかもあたりまえのように美しく、もう正直、こんなにきれいじゃなくてもだいじょぶだよーって言いたくなるくらいの映像美だった。

物語の進行のなかで、カールじいさんはかつて憧れていた英雄(=自身の”分身”的存在)と対峙し、過去の清算/再確認を行っていく。終盤では、ラピュタを彷彿とさせるような空中アクションが繰り広げられたりもするのだけど、そこでぴょんぴょん飛んだり知恵と勇気をふりしぼって悪役と直接対決したりするのがよぼよぼのじいさん、ってところがいい。ピクサー流のひとひねりって感じで、うまいなーとおもわされてしまった。

まあとにかく抜群の安定感は相変わらず、細かいところまで本当によく練られたピクサーらしい作品で、感涙の感動作、っていうのとはちょい違うよなー、なんて見ている途中でおもっていた俺も、エンディング近くのシーンでは結局泣かされてしまうことになった。人物造形もストーリー展開も映像も音楽も、どれもがハイクオリティで精密に作り込まれている(破綻がなく、相互に連関し合っていて、万人の共感を誘い、おまけに程よい斬新さをも兼ね備えている…)のだけど、そういうのってその”完璧さがゆえの物足りなさ”みたいなものがあったりするんだよねー、って感想を書くことになるのでは、なんて見るまえに勝手に予想していたものの、相手が一枚も二枚も上手だったらしい。まったく、ピクサー、恐ろしいやつらだよ…。


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