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『アイム・ノット・ゼア』

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渋谷シネマライズにて。やっぱりディランかっこいいよー!って言いたくなる映画だった。6人の俳優たちが、ボブ・ディランのいろいろな気質を象徴するようなキャラクターを演じていく。ケイト・ブランシェットのディランっぷりは話題になっていたけど(中性的な感じがかっこいい!)、なにげに脇役のキャストが豪華なのもたのしかった。シャルロット・ゲンズブールなんか、よかったなー。

全体的にフリーキーな構成になっていて、完成度みたいな話で言ったらそんなに高くないのかもしれないけど――というか、そういうのを目指している感じじゃない――映画の持っている雰囲気はとてもすきだった。俺みたいにディランに関してはそこそこの知識しか持っていない人でも、十分たのしめる作品に仕上がっていたようにおもう。

ボブ・ディランという掴みどころのない人物のさまざまな側面が、複数のキャラクターに托され、描かれていく。その中で生まれてくるのは、視差の感覚とでもいうようなものだ。いくつものディラン像が鮮やかに提示されるものの、それらはぴったりと一つに重なり合うようには見えない。あくまでも並置されているそれらの像を眺めながら、観客はそれぞれにディランの立体像を浮かび上がらせていくことになる。ディランについて何かを理解させてくれるというより、ディランについて何かをかんがえさせてくれる映画、という感じ。

それにしても、描かれるディラン像はみんなかっこいい!またしっかり曲を聴いてみよう、ってきぶんになった。

そうそう、またしてもアーヴィングの『また会う日まで』からの引用になるけど、主人公、ジャックの母親のアリスはこんなことを言っていた。

「刺青の色と同じでね」/「ボブ・ディランの歌って、身に沁みたら最後なのよ」(上巻・p.466)

あと、ぜんぜん関係ないんだけど、金曜の夜、この映画を見終わって家に帰ってきたのはもう夜の12時近くのことで。あー疲れたー、なんて玄関で靴(コンバースのハイカット)を手を使わずに脱ごうとしたところ、妙に勢いがついたのか、右足をおもいっきり攣っちゃって。両手は無駄に大きなかばんとコンビニの袋(ビールと柿ピー…)とでふさがっていたから、ぬあ!!って声が出るのと同時に床に前のめりに倒れこんでしまったのだけど、ちょうどそのとき耳に突っ込んでいたイヤホンからは、”Like a Rolling Stone”が流れていて。真っ暗な玄関でひとり、動かない右足を押さえつつ、ほとんど声にならない呻き声をあげつつ、”How does it feel?”ってディランの歌声を聴いていると、何とも言えないような、何か悟ったようなきぶんになったりしたのだった。

また会う日まで 上 追憶のハイウェイ61


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