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『潜水服は蝶の夢を見る』

潜水服は蝶の夢を見る 特別版【初回限定生産】 [DVD]

DVDで。評判通り、いい映画、って感じのする作品。題材であるロックトイン・シンドロームに真摯に向き合う姿勢がいいなーとおもった。

主人公はある日突然、全身が麻痺してしまう奇病にかかり、動かせるのは左目オンリー、って状態に陥ってしまう。そんな、いったいどう耐えていけばよいのか想像もつかないようなきわめて厳しい状況のなか、彼は左目のまばたきを使った意志表示により、自伝を書き上げることに成功するのだった…!って物語の筋だけからすると、あーいわゆる難病もの、っておもえてくるかもだけど、全編通してとても静謐な映画になっていて、世に溢れるお涙頂戴ムービー的ななニュアンスはほとんどないと言っていい。

まばたきだけで本を書く。そんなすご過ぎることを可能にしたのは、主人公の精神的、そして社会的な能力の高さだと言っていいだろう。なんていうか、過酷な闘病生活に相対する上でいちばんにたいせつなのは心の強さなのかもしれないけれど、そういうのってやっぱりその人の支えとなるような周囲の充実っぷりがあってこそなんだ、ってことをものすごく感じさせられた。主人公はもともとELLEの編集長だったのであって、その社会的地位はばっちり高いし、きっと金だって十分にある。それでこそのあの医師たち、言語聴覚士たちのすばらしくていねいな応対があるわけだ。それに、まばたきだけで本を書く、なんて芸当は、病気以前にしっかりとした文学的蓄積があったことで可能になったことだと言えるんじゃないか。

たしかに奇跡的な物語ではあるけれど、それ以上にリアリスティックなところで響くものがあった気がする。ものすごく感動するとか泣けるとか言うより、まじめで誠実な映画だとおもった。


『ルー・リード/ベルリン』

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吉祥寺バウスシアターにて。『ベルリン』は、ルー・リードが1973年に発表し、しかし商業的な失敗のためかライブではずっと封印されていたアルバム。その『ベルリン』が、33年の時を経た2006年のニューヨークで完全再現されることになって、そのときのライブ・パフォーマンスを捉えたのがこの映画。もう、とにかく素晴らしかった!

『ベルリン』は、もともとコンセプチュアルな、ストーリー性をもったアルバムだけど、それを新たに映画的に解釈しなおす、っていうわけではないし、インタビューとかステージ裏の映像なんかも一切ない。85分間、ひたすらライブ映像が映し出されていくだけの作品になっている。

バンドもルー・リードもすごくたのしそうに演奏しているし、アルバムの暗さ、陰鬱さは薄まっているような印象がある。骨太なロックで、ほんといいライブ、って感じだった。やっぱり圧巻なのは”Oh Jim”から始まるアルバム後半の流れで、”The Bed”、”Sad Song”にはおもわず鳥肌が立つ。繊細で殺伐とした音楽に、へヴィでやさしい歌が乗っていく、その美しさよ。そしてアンコールで演奏された、”Candy Says”といったらもう!

あと、なぜか指揮者がいて、しかもほとんどドラムしか見ていないっぽいんだけど、見ているうちに彼のノリノリの振りっぷりがだんだんとダンサーみたいにおもえてくるのが素敵だった。正直、バンドに必要ないんじゃん?って感じだし、白い燕尾服(←なのか?)の背中にはでかでかと”BERLIN”って入ってるっぽかったし、意味がわからないんだけど、おもしろすぎだった。


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