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『ラ・ジュテ』

ラ・ジュテ -HDニューマスター版- [DVD]

早稲田松竹にて。大量のモノクロのスチール写真*1を用いて作られた、ほとんどすべてが静止画の映画。全体に無駄を排したストイックな構成になっていて、すごくシャープな印象がある。描かれるのは一見B級SF的なストーリーなのだけど、ひっそりとしたナレーションとモノクロの画像とがそこに命を吹き込んでいるかのようで、チープなはずの物語があたかも一篇の詩のように響いてくる瞬間が何度もあった。

30分にも満たない上映時間のなかで、人体実験とタイムトラベル、改竄されるイメージの不安と人の温もりの確かさ、現実のようにおもえるイメージと現実のようにしかおもえない感覚、といった時間と記憶にまつわる諸要素がゆるやかに溶け合わされていく。え、これってどういう…とおもいながら静かなエンディングを迎えたとき、それらのモチーフたちが鉛のような重みを持った、それでいて霧のようにあいまいでふしぎに美しい作品として結晶していて、いつの間にか自分のなかにしっかりと刻み込まれてしまったことに気づかされるのだ。とてもよかった。これから何度も見てみたい映画。

*1:この"スチール写真"、まずはムービー・カメラで動画を撮っておいて、それを編集の段階でストップモーションにした、ってものらしい。このひとひねりがアイデアとモチーフとを巧妙に紐づけていて、うまいなー、って唸ってしまう。


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