カテゴリー ‘ 音楽

FUJI ROCK FESTIVAL ’10

f:id:hayamonogurai:20100731212816j:image:h170

7月30日、金曜日。会社から帰って、大急ぎでシャワーを浴びて、かばんに荷物を詰めて――ウィンドブレーカ、ジップロック、タオル、ケータイの予備バッテリ、Tシャツ、バファリン――家を出る。新宿で友人と合流して、ツアーバスに乗り込んだのは23時頃。夜行バスで苗場に行けるなんていままでしらなかったけど、これって最高に便利だ。満員のバスの座席におさまって、浮かれた気分でタイムテーブルについて話し合ったり、バンドしりとり、なんてやってみたり。「ストーンローゼズ」「ズボンズ」「ズ…ズートンズ」「……ズワン!」「ンじゃん」…なんてぐだぐだやっているうちに、気がつけばもう消灯時間。

 *

土曜日。朝6時前くらいには苗場に到着した。このところずいぶん不穏な天気が続いていたから心配していたけれど、まずはそこそこいい感じの空模様だ。山の空気は澄んでいて、そこにいるだけで気持ちいい。早速、入口ゲート前の駐車場にて、一服しながらビールをいただく。あーまったく、この幸福感ったらないね…!などとのたまいつつ、タイムテーブルを再度検討。今年は2日目のみの参加なので、この一日を全力でたのしまなければならない。

9時にゲートが開いて、まずはグリーンへ。ステージからあまり遠過ぎない辺りの丘にシートを敷いて、とりあえずベースを確保した。おもしになるようなものをほとんど何も持っていないことに気づいて、ちっちゃい折りたたみ椅子とか、持ってくればよかったなーとおもう。まずはレッドマーキーで日本のバンドをちらり眺めて、オアシスで鮎の塩焼きとかカレーとか食べたりする。いい感じに暑い。

 **

そうして昼過ぎ。Dirty Projectersを見る、って友人と別れて、ひとりグリーンの最前線へ。今回のお目当のひとつ、John Butler Trioだ。ジョン・バトラーはとにかくめちゃめちゃギターがうまくて、ひとりでもじゅうぶん過ぎるくらいのグル―ヴを作り出してしまうのが凄い。もちろんドラムとベースも抜群だけど、でも、ジョンを的確にサポートすることに徹していて、あんまり前には出過ぎない。そんなところがよかった。まあなにしろ、野外フェスで聴くにはぴったりの味わい深いサウンドだ。新譜からの曲が多めのセットリストだったけど、全体的に素晴らしかった。ラストはやっぱり、”Funky Tonight”。3人でドラムを叩きまくって終演。

あらかじめ確保しておいたシートに戻って、友人と合流。うつらうつらしながらのKula Shaker。俺は冒頭3曲とラスト3曲くらいしかちゃんと聴いていなかったけど、”Hey Dude”とか”Hush”とか、懐メロを聴けてそれなりに満足。友人は、キーボの人がすげーいいよ!って興奮していたっけ。

 ***

で、いよいよヘヴンに移動。あーやっぱり、ここがいちばん落ち着くわーとおもう。肉やらビールやらを胃のなかにがんがん流し込みつつ、Kitty Daisy&Lewis。音もルックスもまんま50’sロカビリースタイル、って感じなのだけど、素直にたのしい、っておもえる音楽だ。CDで聴いたときにはいまいちぐっとこなかった曲たちも、野外でみんなで踊りながら見るとこんなにたのしいんだな!っておもって、ああ、フジに来れてよかった、としみじみした。なんていうかもう、ヘヴンじゅうに溢れるゆるい多幸感が素晴らしかった。

夕方、ちょっとだけ涼しくなってきた頃に、Trombone Shorty & Orleans Avenue。これは予想外にかっこよかった!なにしろ、メンバー全員が、最高のテクニックでもってへヴィなニューオーリンズ・ファンクを炸裂させまくりなのだ。トロンボーンもサックスも、ベースもギターもドラムスも、すべてが強靭で自由自在で、ひたすらにファンク。バンドはどこまでも高らかに音楽を鳴らし続け、観客はひたすらに手を叩き、ジャンプし、踊り続ける。もうこれが永遠に続いてもいい…っておもえるくらい、素晴らしい時間だった。個人的には、彼らが今回のベストアクト。そうそう、辺りが暗くなってきたステージ終盤では、ライトに群がる虫の数が凄いことになっていたな。

ホワイトに行くっていう友人とまた別れて、ヘヴンに残る。トロンボーン・ショーティが終わった辺りから雨ががんがんに降ってきていて、KEENのトレッキングブーツを履いてきてよかった…と心の底からおもう。そうしてラストはDerek Trucks & Susan Tedeschi Band。

スーザン・テデスキの歌声はアレサ・フランクリンばりにブルージーで、デレクのギターはめちゃめちゃクール(ついでに、デレクは顔もめちゃめちゃクール。ほとんど表情ひとつ変えないのだ)でかっこいい。その2人をバンドがゆったりと支えている感じ。演奏はジャム的な要素が強いのだけど、スリリングっていうよりはどこか安定感、安心感のあるライブだったようにおもう。まあ、トロンボーン・ショーティで盛り上がり過ぎてしまったせいで、そんな風に感じたのかもしれないけれど。とにかく、デレク御大のスライドバーから放たれる無限の音色がヘヴンの夜空に広がっていく様子は――夜空はどんよりとした雨空だったにせよ――ひどく心地よく、美しかった。なにしろそこには夜があり、闇があり、そして音楽があったのだ。

 ****

MGMTで立ったまま爆睡した(!)という友人と合流して、入口ゲート近くで名残惜しげにピザなんか食べつつ、ツアーバスへ。バスは深夜1時に苗場を離れ、始発の電車が動き始める頃には新宿に到着した。帰り道、1日でもじゅうぶんたのしめることがわかったのはよかったけど、やっぱり来年からは有給取って3日間参加したいよなー、なんて話をふたりでずっと話していた。


Hilary Hahn / Esa-Pekka Salonen: The Philharmonia Orchestra@東京芸術劇場

エサ=ペッカ・サロネン ヒラリー・ハーン

5月30日、池袋は東京芸術劇場にて、エサ=ペッカ・サロネン/フィルハーモニア管のコンサート。今度ウィーンフィルと来日することにもなっているサロネンは、最近かなり注目の指揮者だし、何より、俺にとっては高校生の頃からいちばん好きなバイオリニストである、ヒラリー・ハーンがソリスト!ってことで、かなり気合いを入れて会場に向かったわけだけど、さすがというかやはりというか、彼らは期待以上の演奏を聴かせてくれた。

  • へリックス/サロネン
  • 前プロは、サロネン作曲の『へリックス』。現代音楽にしてはかなりキャッチーで聴きやすい曲。…っていうか、そのくらいの印象しか残ってないや…。

  • バイオリン協奏曲/チャイコフスキー
  • 中プロが、ヒラリー・ハーンをソロに迎えた、チャイコフスキーのバイオリンコンチェルト。先日出たハーンの新作を聴いていたから予想はついていたものの、はっきり言って、こんなに冷静で精密なチャイコンは聴いたことがない!ってくらい、落ち着いてていねいに演奏されたチャイコンだった。もともと、サロネンもハーンも、音符がくっきりと見えてきそうな演奏をするタイプだとおもうけれど、これはなんていうか、世にはびこるパッション爆発系のチャイコンをクールに流し斬りするような演奏で、緊張感が凄まじい。凄まじいのだけど、当のハーンはじつに軽やかに弾いていて、とにかくかっこいいんだ。第一楽章頭のソロから、ぐんぐんに引き込まれてしまった。

    ヒラリー・ハーンって、演奏技術の安定っぷりがすごいのはわかるけどさ、心は動かされないんだよね…みたいなことをときどき言われたりしている気がするけれど、いや、やっぱりこんな風に端正で精緻で、明確な意図でもって曲が推進していくのを感じさせる演奏には、感動しないわけにはいかないわー、と俺はおもった。まったく土の匂いのしないチャイコン、抑制のきいた優雅なチャイコン。こういうチャイコンもアリなんだなー、って目を開かされたみたいな感じだった。

    ちなみに、アンコールはバッハのサラバンド。これはもう、会場にいた誰もがうっとりと聴き惚れていたに決まっているのであって、俺としても、最高だったとしか言いようがない。

  • 交響曲第2番/シベリウス
  • メインはシベリウスの2番。全体の音の処理がとにかく精密だし、薄霧のような広がりを持った弦パートや、まろやかに溶け合った感じの金管の音色がすごくよくて、あー、本当にうまいオケなんだなあ、なんてあたりまえのことをおもった。正直言うと、シベ2ってとくに好きな曲ではないのだけれど、サロネンの指揮に引っ張られるようにして、かなりおもしろく聴けてしまった気がする。チャイコンでロシア臭が消されていたのと同様に、北欧っぽいロマンティックさは抑えめでありつつも、今度は音量の幅の大きさを最大限に活かしきった演奏で、ちょっと変わった響きになっていたようにおもう。でもとにかく、2楽章冒頭の緊張感にはじりじりさせられたし、4楽章の突入部やエンディングでは、身体じゅうが音に包まれて毛穴という毛穴が一気に開くような、ぞくぞくするくらいの快感を味わえた。

 *

ハーンがよかったのはもちろんだけど、サロネンの指揮は想像以上にわくわくさせられた。ブルックナーとかぜったい得意そうだし、秋のウィーンフィルとの共演、お金と時間さえあれば、聴きに行きたいなー。

・サロネン ヘリックス
・チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
 
(ソリストアンコール)
・バッハ サラバンド(無伴奏ヴァイオリン・パルティータより)
 
・シベリウス 交響曲第2番
 
(アンコール)
・シベリウス 組曲「ペレアスとメリザンド」より「メリザンドの死」
・シベリウス 組曲「カレリア」より「行進曲調で」
・シベリウス 「悲しきワルツ」

チャイコフスキー&ヒグドン:ヴァイオリン協奏曲


豊田道倫 生誕40年&NEW ALBUM『バイブル』発売記念 大コンサート@O-nest

バイブル

2月7日、渋谷にて。40周年&新作『バイブル』発売記念ってことで、またしても3部構成のライブ。18:30から22:30近くまでおよそ4時間の長丁場だったのだけど、その感想を一言で言うなら、最近のみーくんのライブはなんだか本当にやばいものを見てる感じがする、ってことに尽きる。第一部の弾き語りの地味さも、第二部の昆虫キッズとのロックンロールも、第三部の久下惠生とのひりひりした緊張も、どれもここでしか感じられないようなエナジーと独特の間合いとに溢れていて、ああ、この人の音楽を知ることができてよかったな、といままで何度もおもっているはずのことを、この夜もまたおもったのだった。

昆虫キッズと久下と一緒に演奏された、アンコールの”移動遊園地”では、昨年末のライブのときと同じように泣きたいような気分になった。22歳の頃の豊田が作ったひとつの曲が、20年近く経ったいまでもこんな風に広がりを持ち、悲しくなるような美しさを放っているということをかんがえると、圧倒されるような打ちのめされるような、それでいて、ちょっと手を伸ばせば無限の可能性に触れることだって出来てしまえそうな、ふしぎな気分になるのだ。どういうわけでそんなにぐっときてしまうのかは、自分でもよくわからないのだけど…。

会場で販売されていた『バイブル』と、昆虫キッズのライブ盤CD-R『Around Tokyo vol.1』を買って帰った。『バイブル』は夜眠るときに小さな音で、『Around Tokyo vol.1』は朝通勤するときに大きめの音で、毎日聴いている。


湯川潮音@九段会館

Sweet Children O'Mine

1月31日、九段会館にて。昨年末に出た『Sweet Children O’Mine』は、ガンズやらエアロスミスやらオアシスやら、ロックの超メジャーな曲たちを湯川潮音の澄んだ歌声でカバーしちゃいました、ってアルバムで、そのよく晴れた春の日に野原でハイキングしているときにでも流れてきそうな牧歌的かつメルヘンなアレンジが軽く衝撃的な作品に仕上がっていたのだけど、この日のライブではもう少しロック色を強めた演奏になっていた。バンドはボーカル、ギター、ベース、ドラムのスタンダードな4人編成で、出音も結構大きい。それに、”Sweet Child O’Mine”なんかはレゲエのビートを導入したカバーになっていたり、ちょっとチャレンジングなこともやっている感じだった。

全体的にはなかなかたのしめたのだけど、とくに序盤のうちは肝心のボーカルがベースやドラムの音量に負けてしまっている場面もちらほらあるようにおもえて(九段会館の音響の問題もあるのかもだけど)、もったいないなーとおもってしまうところもあった。中盤以降はさすがにバランスが整っていったし、何よりバンドで歌うのがたのしい!って気分がぐんぐん伝わってくるようなライブだったので、こういうのも悪くないかな、なんて段々とおもえるようになってはいったのだけど、

結局のところ、いちばんぐっときたのはアンコールの弾き語りで演ってくれた”ルビー”だったわけで、自分が湯川潮音のライブに期待してるのはやっぱりこれなのかもな…なんて再確認するような感じではあった。だってさ、やっぱり声が本当にきれいで。それはもう、真っ暗な会場に響き渡る歌声に、脳内マッサージされているような気分になってしまうくらいなんだ。

以下セットリスト。

Don’t Look Back in Anger

I Want You Back

風よ吹かないで

Angel

To Be With You

逆上がりの国

Sweet Child O’Mine

Harlem

しずくのカーテン

ひなげしの丘

Don’t Worry, Be Happy

緑のアーチ

No Surprises

エデンの園

Don’t Get Me Wrong

裸の王様

———-

ルビー


豊田道倫 with 昆虫キッズ@渋谷o-nest

f:id:hayamonogurai:20091230234208j:image:h170

29日。o-nestにて、豊田道倫と昆虫キッズのライブ。年末に豊田のライブを見ると、あー今年ももう終わっちゃうんだなあって実感したり、またちゃんと見れてよかったなー、なんてしみじみおもったりもするのだけど、今回はそんなセンチメンタルな気分を一息で吹き飛ばしてしまうようなラウドでエネルギッシュなライブだったのであって、もう最高にたのしかったとしか言いようがない。全体で3部構成になっていて、1部が昆虫キッズ、2部が豊田道倫ソロ、3部が豊田道倫 with 昆虫キッズという流れ。

昆虫キッズってバンドは、秋に出た豊田道倫 with 昆虫キッズ名義のCDではじめてその存在をしったのだったけど、曲中に詰め込まれたアイデアと演奏のスピード感、問答無用のエナジーに満ち満ちたバンドで、今回のライブですっかりファンになってしまった。どたばたと動き回るキース・ムーン系のドラムにじゃりじゃりしたギターとベースが乗っかって、その上で超エモーショナルかつ超不安定なボーカル(♂)ととびきりキュートなボーカル(♀)がゆらゆらしている。荒っぽくも生き生きとした、見ていて元気になっちゃう演奏って言ったらいいのかな、もうとにかくたのしい。佇まい的にもかっこいいし、曲自体もどういう系って言いがたい、ふしぎな魅力に溢れたものばかりで、やばい、すごいバンドを見ちゃったかも…!とおもった。

そして豊田道倫なのだけど、いまの彼のモードがこんなにアッパーでロックなものだとはしらなかったから、本当にびっくりした。ソロパートではいつも通り、しぶいシンガーソングライター然とした感じでやっていたくせに、3部のバンド編成では見ていて笑っちゃうくらいロックンロール。がんがん叫んで、ギターかき鳴らして。おまけにピック投げまくりだし、帽子もマイクも投げるし、まさかの客席ダイブまで敢行しちゃって、ぜーぜー言っていたけど、こんなみーくんはじめて見たっ!とおもって興奮したし、感動させられた。ロックなおっさんってかっこいい。

1部から3部、アンコールまで全部よかった。こんなに頭の先から尻尾までぜんぶたのしいライブって、そうそうない。バリバリと脳髄に響くギターとベースも、生で見てみるとやっぱり超うまいドラムも、ピッチの怪しいボーカルのシャウトも、チープな感じの照明も、普段のみーくんのライブではかんがえられないくらい揺れるo-nestの床も、おもいおもいのやり方でライブをたのしんでいる観客たちも、ぜんぶひっくるめてこの時間、この空間がすごい好きだな、って見ているあいだに何度もおもっていたし、元気に演奏されたアンコールの”移動遊園地”では泣きそうにもなってしまった。今年最後のライブがこれでよかった。最高だった。

ABCD


Calendar

2015年10月
« 7月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

Archive