『エリス・レジーナ~ブラジル史上最高の歌手』

渋谷ユーロスペースにて。ドキュメンタリーというより、ライブ映像といった方が近いような作品だった。テレビのスタジオライブの合間に、エリスが自分の身の上や曲の作曲者についてあれこれおしゃべりをするのだ。カメラは彼女の顔のアップかピアノの鍵盤くらいしか映さないので、映像的にはおもしろいところはほとんどないのだけれど、とにかく演奏はクールでグルーヴィ、ボーカルは譜割りを崩して自在にフェイクを入れまくり、っていうきわめてハイレベルなライブを聴かせてくれるので、興味がある人なら、それだけでもじゅうぶん満足できるだろう。

バンドの編成は、ピアノトリオ+ボーカルの4人。ピアノのセーザル・カマルゴ・マリアーノ、ドラムのパウリーニョ・ブラガ、ベースのルイザォン・マイア、そしてボーカルのエリス・へジーナ。まさにエリス黄金期のメンバーって感じだ(それだけに、バンド全体のようすがぜんぜん映らないのはもったいないなーとおもう)。曲も全部で17曲とたっぷりだし、合間にはトム・ジョビンやミルトンやジルベルト・ジルの人となりについてエリスが好き勝手にいろいろしゃべったりするし――んー、あの人はね、いい人よ!いい人っていうのはね、ちゃんと目を見て話せる人のこと。最近では、そういう人が少なくなってしまったけど――で、なかなか飽きさせない。この映像が撮影されたのは1973年なので、当時エリスは28歳。ベリーショートがキュートで、ポジティブなオーラが全開になっている感じがすばらしかった。

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