『ブロークン・フラワーズ』

ブロークンフラワーズ [DVD]

DVDで。これ、すっごいよかった!昔プレイボーイでならした中年独身男(ビル・マーレイ)のもとに、じつはあなたの息子がいるの、という手紙が届く。差出人は不明。男は友人のすすめるままに、昔の恋人たちをたずねる旅に出ることにする、というストーリー。

とにかく、ジム・ジャームッシュ監督のセンスのよさは尋常じゃない!と感心しきってしまった。冒頭、ピンクの封筒に入った手紙が、主人公の家に届くまでが映し出される。その映像と音楽とのマッチングからしてもうじつに絶妙で、俺は始まって5分で拍手喝采、ねえちょっと、すげーいいセンスしてんじゃん!って具合に、完全にやられてしまった。全体的に見ても、映像、音楽、物語にたゆたうユーモア、シュールともいうべき非現実感、などといった要素がじつにバランスよくおさまっていて、あーいい映画見たな、ってこころからおもえる作品に仕上がっていた。

そういえば、この、自分にじつは息子がいるのかもしれない!って可能性を唐突に知らされて、それを確認すべく旅に出る、っていう設定は、ヴィム・ヴェンダースの『アメリカ,家族のいる風景』と同じだ。あの映画も、俺はものすごく気に入っていて、オフィシャル・フォトブックとかを、いまでも時々読んだりする。台本とかも載ってるから。まあ、もっとも、テーマの取り扱いかた、って点では両者ははっきりと異なっている。『アメリカ~』は家族もの映画、って言えそうだけど、『ブロークン~』はそうじゃない。これは、明確にひとりの男についての物語だし、何よりビル・マーレイの映画だ。

はっきりいって、ビル・マーレイの演技っていうのはいつ見ても最高なんだけど、とくにこの映画では彼の細かな演技が非常にフィーチャーされていて、それもこの映画のすばらしいところだった。間のとりかたや、視線の動かしかた、ほんのわずかな表情の変化といった、彼の地味な動きひとつひとつが、ひたすらにおもしろい。どこが、なのかいまいち分からないけど、すごくおかしくて、これだけで完全に観客を魅了してしまう。この映画全体を支えているのが、彼のその地味なおもしろさなのであって、こういう感じって、ちょっと他に比較対象をおもいつかないなーとおもった。

あと、ビル・マーレイがフレッドペリーのジャージを何着も着替えるのがよかった。俺は、ジャージつながりで、ウェス・アンダーソン監督の『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』をおもいだしたりした。たしか、ベン・スティラーが親子でジャージをいつも着てる、って設定で、それがすごく可笑しかった記憶がある。

Similar Posts:


  1. コメントはありません。

  1. トラックバックはありません。

Calendar

2015年10月
« 7月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

Archive