『ラヴ・ストリームス』

『ラヴ・ストリームス』

早稲田松竹にて。 結婚生活が破綻した後、破天荒な生活を送っていた弟(ジョン・カサヴェテス)のもとに、同じく結婚生活に破れた姉(ジーナ・ローランズ)がやってくる。ふたりはそれぞれに愛を求めて彷徨するのだが…!

ジーナ・ローランズは、『こわれゆく女』と同様、どこか精神を病んだ、エキセントリックな女性を演じている。そして、ジョン・カサヴェテスも、姉ほどではないにせよ、何かが決定的に欠落した人間として描かれているようだ。彼らの行動はとりとめがなく、まともな目的や目標があってふるまっているようには到底見えない。本能任せで行き当たりばったり、その場、その瞬間の感情だけに忠実なのだ。そんなふたりだから、どんなに必死に行動してみても、それが描き出すのは負のスパイラルでしかない。冒頭から不安定な彼らの精神は、2時間以上経っても、一向に安定の兆しを見せないのだ。

映画の終盤で大量の動物たちが家にやって来る辺りから、物語は一気にその夢幻性を高め、強迫観念と妄想が入り混じった、神秘的で圧倒的なムードを醸し出していく。とくに、ジーナ・ローランズが元夫と娘とを「30秒で笑わせる」と言ってプールサイドでギャグを連発するシーンは、不気味でもあり、物悲しくもあり、そして奇妙に美しくもあった。

狂気や妄想が爆発しているけれど、だからこそ大胆で、独特の輝きを持った映画だった。作中で語られ、各エピソードで描かれるように、主人公たちは「喪失感」を憂うけれど、その実はじめから「何も持ってはいない」。彼らは最初から最後まで、自分が求める人からの承認を得ることができないでいるのだ。持たざる者であるからこそ、彼らは強く真剣に「愛」なるものに憧れ、その止むことのない流れを自分のもとへ引き寄せようと不器用にあがき続ける。その姿は、どこまでも孤独を感じさせ、悲しいけれど、胸を締めつけられるような美しさを放ってもいる。

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