『ソナチネ』

ソナチネ [DVD]

早稲田松竹にて。こういうのって、なんかあんまり好きなタイプじゃないんだよなーとおもいつつ見ていたのだけど、見終わってから何週間も経ったいまでも、スクリーンに映し出された海や土、火花や鮮血の美しさをくっきりとおもい出すことができるわけで、やっぱりこれはなかなかの作品だったのだろうとおもう。沖縄で、ヤクザたちがだらだらしたり、遊んだり、殺し合ったりする、ちょっとシュールでとても静かな映画。

登場人物のほとんどが死んでしまうストーリーではあるものの、死につきものの湿っぽさは可能な限り回避されているようで、乾ききった、空虚な気分ばかりが印象に残る。作中では、静けさ、唐突な死、恐怖、笑いといった要素が、奇妙な、それでいてまさにこれしかない、っていうようなバランスを保ったまま同居していて、一本筋の通った、完成度の高い作品だなーと見ていておもった。

…とはいえ、俺の好みじゃないなーとおもった原因は、まさにその完成っぷり、調和の取れっぷりにこそあったような気がしなくもない。なんていうか、全体的によくでき過ぎていて、あざといように感じられてしまったのだ。物語の設定のおもしろさ(アロハシャツを着て沖縄に向かうヤクザたち!)もスタイリッシュな映像も、ブラックなギャグも虚無的なイメージも、あまりにきちっと決まり過ぎているような印象がある。もちろん、それは作品の価値を落とすような要素ではないのだろうけど…。

あと、あざといと言えば、久石譲の音楽もそういう感じがして、いまいち好きじゃないんだよなー、と見ていて改めておもったりした。その抜群の耳触りのよさはときに安っぽくおもえてしまうし、はっきり言ってセンチメンタル過ぎる。いや、センチメンタルなのが悪いわけじゃないけど、映画のなかで流れる久石の音楽は、なんだかあまりに記号的というか、安易な感じがしてしまって。

うーん、なんだか批判的なことばかり書いてしまったけれど、決して悪い作品ではないとおもう。なんていうか、ものすごくダメな気分、何もかもが虚しくなって、もう全部全部捨てちまおうか、って気分のときに見たらものすごくしっくりくる映画なのかも、なんて気はしている。

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