『渇き』

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新宿武蔵野館にて。期待していたパク・チャヌク監督の新作だけど、もうとにかく最高だった!このごった煮感、勢いあり過ぎる感、テンション高すぎる感は、ちょっと他では味わえないものだろう。前作『サイボーグでも大丈夫』もすごく好きな映画だったけど、彼の真骨頂は今作みたいなエナジーの迸り、どろどろした感情の絡まり合いにこそあるんだろうなー、と見ていて強くおもった。

今作のストーリーにおいては、”復讐3部作”と同様に、「血みどろの暴力+悲劇+セックス=おどろおどろしいけどやたらと興奮する映画」、ってかなり明快な公式が用いられているのだけど、そのどの要素についてもまったく抜かりがない、というか、むしろどの要素についても描写がいちいち濃密過ぎるところが素晴らしい。で、そんなどろどろした展開のくせにふしぎとポップな感覚もあったりして、一筋縄ではいかない感じもたまらない。まあとにかく、俺ってパク・チャヌクの映画がほんと好きなんだなーと再認識したのだった。

物語は、ヴァンパイアものの定型であるのと同時に、男と女の愛憎劇でもあり、悲劇であるのと同時に喜劇でもある。さまざまな感情のレイヤーが激しい暴力の嵐のなかで交錯するのはいつものパク・チャヌク印なわけだけど、今作においてはホラーすれすれのグロテスクなユーモアの感覚がすごく効いていて、いつも以上になんともいわく言いがたい気持ちにさせられる。ものすごく気持ち悪くてものすごく可笑しいシーン、ものすごく恐ろしくてものすごくバカバカしくて、おまけにちょっと切ないシーン、そんな描写の多面性が、作品を重層的で味わい深いものにしているようにおもう。

…って、ネタばれなしで書こうとしてもあまり大したことが書けないのであれなのだけど――本当は、細かい描写こそがいちいちおもしろいのだ――血みどろちんがいな暴力シーン(見ていてこっちまで痛くなってくる)とやたらと官能的なセックスシーン(これがまあ、ものすごくイヤらしくていい!)に抵抗がない人はぜひぜひ見てみたらいいとおもう。主演のソン・ガンホとキム・オクビンは最高の演技をしているし、映画のもつ熱量、よくわからない圧倒的なテンションには、きっと誰もがお腹いっぱいになってしまうはず。こういうのをこそエンタテインメントっていうんだよなー、なんてパク・チャヌクの作品を見るたびに俺はおもってしまうのだけど、今作もまさに最高のエンタテインメントだった。

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