サンデー・モーニング

冬の日の晴れた朝が好きだ。それが何にも予定のない休日で、うまいこと早起きできた朝ならもっといい。冷たい空気も薄水色の空も、枯れた木の枝も、コートやブーツの重さも心地よくて、親密な感じがするから。昨日の雨で空気中の塵がすっかり流されてしまったせいか、今朝はとくべつに空気が澄んでいるような気がして、俺はもうそれだけでちょっと幸せな気分になってしまう。

バスに乗って駅前に向かい、スタバに入った。エスプレッソマシンのたてる、プシュウーって音がいい。コーヒーを買って2階に上がる。さすがにまだそんなに人はいない。窓際の席に座って、ミニノートPCを立ち上げているあいだに、本を開く。窓から差し込んでくる日がページのうえに落ちて、白く光った。最近は本を読んだり音楽をやったり、その周辺のことをかんがえたりしている時間がいちばんたのしいな、ってふとおもうけれど、じっさいのところ、それは最近どころか10年くらい前から変わっていないのかもしれない。友達と飲んだり女の子とデートしたり、おいしいものを食べたり買い物したり、運動したり旅行したり、たのしいこと、大事なことはたくさんあるけど、でも、これだけは外せない、っていうのはやっぱり本と音楽のようで、俺はこいつらにほんとに頼り過ぎだな、と改めておもって、そういう自分にちょっとうんざりする。

でも、しばらくすると、キーボードをかたかた叩きながら、こんな12月の朝に読みたい本は、聴きたい音楽は何かな、なんてぼんやりとかんがえていた。江國香織の『流しのしたの骨』は穏やかな冬の日のイメージがあって、合いそうだなーとおもったり、音楽はやっぱりアコースティックな音がいいな、スフィアン・スティーブンスとかソンドレ・ラルケとか、フォーキーなやつがいいな、とかおもったり。どうやら刺激の少ないものを欲しているみたいだ。

気がつくと、スタバの2階席はほとんどいっぱいになっていた。期末試験の勉強をする高校生、英会話の先生と生徒、俺と同じようにPCに向かっているおっさん、頬杖をついて文庫本をめくっている人、何かよくわからないことを延々としゃべっているカップル、スペーシーな柄の着物の北欧っぽい感じの女の人。いろんな人がいる、っておもう。冬の朝の空気や光はその誰もに平等に与えられていて、それぞれの人が自分なりにこの時間を過ごしているんだよな、なんて月並みなことをおもったりするだけで、こんな朝はなんだか妙にうれしい気分になってしまうのだった。

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