『日陽はしづかに発酵し…』

『日陽はしづかに発酵し…』

早稲田松竹にて。いやー、むちゃくちゃかっこいいタイトルだけれど、これは辛かった。とにかく眠い。明確なストーリーがなく、ただただ悪夢というか蜃気楼というか、詩情と同時にもやっと感の溢れまくる、気怠く黄色い映像が140分間流れ続ける…という感じの映画だった。トルクメニスタンの不毛で陰気な町に派遣されたロシア人青年医師を主人公に、彼の周囲で唐突に起こる不可思議なできごとが淡々と描かれていくのだが、それらに対する説明やエクスキューズは一切なし。潔すぎる一作である。(いや、もしかしたらロシア語で細々と説明がなされていたりするのかもしれない。字幕のあたっていない小さな台詞や背景のざわめきみたいなものはたくさんあったので。)

一応、作品のプロットを駆動させていくのは、「不条理」とか「幻想的」なんて言いたくなるような、よくわからない幾つかのエピソードだ。が、各エピソード同士の連関は基本的にほとんどない(ようにしか見えない)し、エピソード単体をとってみても、「俺、くっきりしたストーリーを語ることには興味ないんだよね…」とでも言いたげな不親切さがあって、感想を述べたりするのは難しい。寓話的な要素があるのはぼんやりとは理解できるような気がするものの――ソ連とその属国であるトルクメニスタンとの関係性(強制移住、核実験、政治犯の逃亡先?)――筋道立った説明ができるようにはおもえない。

というわけで、ひたすら長回しを続けるカメラと、そこに映し出される乾いた悪夢的世界、というまあ言ってみればそれだけの作品だ。そこに美しさやポエジーを感じ取ることはできる(というか、映像のセンスはたしかに素晴らしく、どのシーンも一枚の絵のようにびしっと決まっている)のだけれど、それにしても140分間集中して見続けるのは辛かった。30分くらいにまとまっていたら、結構好きかも…とはおもうのだけど、でも、それだとこの、時間が引き伸ばされて悪夢が延々と続いていく、いやーな感じが出ないんだろうな…。

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