Hilary Hahn@横浜みなとみらいホール

Hilary Hahn@横浜みなとみらいホール

ヒラリー・ハーンのバイオリンといえば、そのずば抜けたテクニックのもたらす安定感はもちろん、それに加えて「知的」で「冷静」で「意図が明確」な感じにすごく惹かれるのだけど、そういう演奏っていうのは、すごく「自然」に聴こえるものなんだなー、ということを実感できた演奏会だった。今回のプログラムは、委嘱作品の小品6作を中心とし、それらの間にモーツァルトとフォーレのソナタ、バッハのシャコンヌ(パルティータの2番)を挟み込む、というちょっと変わった構成。委嘱作品たち――その多くは、いわゆる「現代音楽」な感じのハードな作風だった――もそれ以外の曲も、どれもごく自然な、気取りのない音が鳴らされていたようにおもう。

とくに印象深かったのは、終盤のフォーレのソナタと、シルヴェストロフの”Two Pieces”という作品。どちらも夢見るように叙情的というか、まあ言ってみればわかりやすくロマンティックな作風だったのだけど、これらの曲のドラマ性を過剰にアピールするのではなく、あくまでも端正かつ抑制を効かせた響きで聴かせる、っていうその塩梅がとにかくかっこよくて。やっぱりハーンは、こういうリリカルな曲を精密に弾くところが素敵なんだよなーとおもった。シャコンヌも、魂の熱演、みたいな大仰なところはぜんぜんないし、あっさりしていると言っても間違いではないくらいクールな演奏ではあるものの、それによって曲全体の構成に意識を向けられるようなところがあって、そっか、こういう風にも聴けるんだな、というような発見があった。ただ、個人的にはバッハが好きなので、もっと他の曲もいろいろ聴かせてくださいよー!とはおもった。

シャコンヌ以外の曲は、どれもピアノとのデュオによる演奏。共演のピアノはコリー・スマイスという人(即興演奏とかが得意らしい)で、彼もすごくよかった。ハーンと似たような、理知的でコントロールの行き届いた演奏をする人だなーという印象で、とくにモーツァルトの伴奏のシルクのような繊細さにはうっとりさせられてしまった。

プログラムは以下の通り。

Antón García Abril: “First Sigh” from “Three Sighs”
David Lang: “Light Moving”
Mozart: Sonata for Violin and Piano in E-flat Major, K.302
大島ミチル: “Memories”
J.S.Bach: Chaconne from Partita for Solo Violin No.2 in D Minor, BWV 1004

 *

Richard Barrett: “Shade”
Elliott Sharp: “Storm of the Eye”
Fauré: Sonata No.1 for Violin and Piano in A Major, Op.13
Valentin Silvestrov: Two Pieces for Violin and Piano

 *

James Newton Haward: “133…At least”
David Del Tredic: “Farewell”

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