『サイボーグでも大丈夫』

最近、俺にとって一番たいせつなのって、ポジティブ感をあたえてくれる人やものなんだよなー、とおもっている。ポジティブ感をもって生きることって、世界を肯定すること、とかなり近い位置にある気がする。そして、ポジティブ感を吸収しつつ生きることは、ともすればネガティブの螺旋に落ち込んでいきそうになる自我を相対化していくことと、密接に繋がっているはずだ。というか、そういう、世界を肯定するような気持ちのことを、ポジティブ感だとかんがえているのかな俺は。すばらしいし、おもしろいし、うつくしいし、いいじゃんこの世界って。という感じ。…って、俺はけっこうまじめにそうおもっているのだけど、こうやって書いてみると本当にただのばかみたいだなー。うーん、まあいいや。

で、きょう俺にそんなポジティブ感をがっつり分けてくれたのが、このファンタジー風味の恋愛コメディ。映画の全編をユーモアのセンスがばっちり貫いていて、すごくたのしく見れた。だいたい、主人公の女の子は自分がサイボーグだとおもいこんでいて、食事をとる代わりに乾電池をぺろぺろってなめて、それで充電できたなんておもっているのだ。それがこの映画のベースとなるアイデアなのだ。なんなんだよそれは。

物語の舞台は精神病院。けれど、よくある、閉塞感に息が詰まりそう、って描写ではなく、パク・チャヌク監督のポップな感覚がいかんなく発揮されていて、そこでの暮らしは、なんだかけっこうたのしそうに見える。物語は、主人公の拒食症サイボーグ・ガールと、彼女を助けようとする男の子との恋愛を軸に進んでいく。でも他の患者たちのキャラクターの描きこみも実にしっかりしていて、とてもバランスがいい。そして、彼らひとりひとりに、いちいちわらえる小ネタが満載で、とてもばかばかしい。アイデア溢れる、カラフルでポップな空間の描きかたは、『アメリ』とか『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』を連想した。あ、あとティム・バートンとかね。まあ、『アメリ』とかよりはもうちょっと毒がきいてる感じがするし、ティム・バートンの諸作品ほどファンタジーではないんだけれど。

病院に暮らす患者たちは、いわば社会から疎外された人たちではある。けれど、この映画は彼らをひたすらポップに、軽やかに描きだすことで、あくまでポジティブな側面を見出そうとしている。なんだか、そういう姿勢がとても信頼できるような感じがした。「サイボーグでも大丈夫」だなんて、このことばだけでは、単に理想主義的で安易な肯定でしかない。けれど、この映画を見終わったときには、「うん、サイボーグでも大丈夫!」といいたくなってくる。You’re a Cyborg, But That’s OK!そんなしっかりとした物語のちからがあって、俺は心を動かされましたよ。くだらないくせに、ちゃんとメッセージはもっていて、こういうのってエンタテインメントのひとつの理想なんじゃないだろうか。

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