さかなクンをリスペクトしよう!

俺はさかなクンをリスペクトすべきなのではないか。そうかんがえるようになったのは、柴崎友香特集の『文藝』で柴崎といしわたり淳冶(元SUPERCAR)が対談をしているのを読んだのがきっかけだった。対談のなかでいしわたりがカッコイイカッコイイって言ってやたらめったら褒めちぎっている人物というのが、さかなクンなのだった。

柴崎:じゃあ、均質化とか標準化にあらがうものって何だと思いますか?

いしわたり:さかなクンじゃないですか?さかなクンのかっこよさって、本当にカッコイイですよ。さかなクンになれるかっていうとなれないですよ。さかなクンこそ個性ですよ。さかなクンの話、絶対一時間以上聞けますもん。それが魅力なんじゃないですか?さかなクンの熱愛報道とかないですもんね。金目鯛が一番好きって言ってたので、お、金目っぽいなと思ったりするのかな?って思うんですけど(笑)。

柴崎:彼女の写真が出たら、金目鯛っぽい!みたいな(笑)。

いしわたり:ある意味KYとしてくくられるようになっちゃってるのかもしれないけど、俺からすればすごいカッコイイKYの状態で、そういう人が増えればもっと面白いと思うんです。さかなクンなんて絶対誰にも危害を加えないですよ。普通に魚が好きで、魚のことがいっぱい知りたくて、一生懸命生きてる。ものすごい正しい状態じゃないですか。すごいカッコイイなって思いますよ。ぼくは「え!?」って思いたいんですよ。「え!?」って思ったときにその人の個性を初めて知ることができる気がする。

うーん、いしわたり飛ばしまくってるなー。「均質化とか標準化にあらがうもの」の代表として、いきなりさかなクンを挙げてくる、ってあまりに斬新なこのセンス。このテンション。

そして、「さかなクンになれるかっていうとなれないですよ」、「さかなクンの熱愛報道とかないですもんね」、「さかなクンなんて絶対誰にも危害を加えないですよ」って、喋っているときのきらきらとした眼差しをすら想像させる熱いことばたちから伝わってくるのは、さかなクンのことを純粋にリスペクトする気持ちに他ならない。だいたい、こんなところでさかなクンのことがすっと出てくるのは、常日頃からさかなクンの動向を気にかけているからに違いなくて、そういう意味でもなんだかすごい。

だから俺は、いしわたりまじおもしろいなー、って感心して、まずはいしわたりの発言に「え!?」って言いたくなっていたのだけど…。

でも言われてみると、たしかにさかなクンってすごいかもしれない。よくよくかんがえれば、俺もいしわたりの意見にはおおむね同意できるんじゃないか?なんだかそんな気もしてくるのだった。

で、さかなクンについておもいをめぐらせてみると、たしかにポジティブな要素ばっかり出てくるんだこれが。さかなクンっていつも明るくて元気だし、魚のことなら何でも教えてくれるし、悪いことなんてしなさそうだし、なんてったって圧倒的な個性だし、なにかにつけ「ギョギョッ!!」とかシャウトしてるし、一時間のうちに100回くらい「え!?」っておもわされること請け合いだし、かんがえようによっては結構かっこいいのかもしれない。さかなクン、って名前からして、なんつーかこう、そのまんますぎであるがゆえの大胆不敵さ、みたいなものが感じられなくもないし。そういえば、さかなクンのプライベートなんてきっと誰もしらないし、ってことは、ほら、ミステリアスでもあるじゃん。あれ、なんか、やっぱりかっこいい気がしてきた…!ってなわけで、ここはひとつ、俺もさかなクンをがんがんにリスペクトしていくべきなのではないか、そうかんがえるようになったのだった。

文藝 2008年 11月号 [雑誌]

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