『ウェイキング・ライフ』

ウェイキング・ライフ [DVD]

DVDで。やー、これ、おもしろかったなー!2001年の作品だけど、実写の映像にデジタル・ペインティングを施したふしぎなアニメーション映像はとにかくかっこいいし、いま見てもじゅうぶん新鮮だった。

主人公の青年は自分の部屋で何度も目を覚ますのだけれど、どういうわけかいつまで経っても夢のなかから抜け出せないでいる。目を覚ましても覚ましても夢のなかなのだ。彼はさまざまな人々の語りを聞きながら、完全に目を覚ます方法についておもいを巡らせる。いったい、夢と現実との境とはどこにあるのか…??なんていうのが一応、物語の骨格としてあるのだけど、ちゃんとしたストーリーみたいなものは特になくて、人々が主人公に向けて放つことばたち、一方的にまくし立てられる台詞の数々が映画のほとんどを占めている。落ち着くことなく、たえずゆらゆらし続ける視覚世界は、まるで夢と現実との狭間のよう、というか、その境界があやふやになっている感を醸し出している。夢から目を覚ます夢を見たりとか、あっこれ夢だ、いま夢のなかにいる、って気付くことがあったりするけど、その奇妙な感覚がずうっと続いていく。

全編を通じて、いろいろな人がいろいろなことをしゃべりまくっているのだけど、その勢いがとにかく凄まじい。それは“意識”や“夢”といったことをテーマに据えた、哲学的とも言っていいような問答というか、ことばの奔流だ。ぼうっと見ているととても捉えきれないくらいの勢いと量とがあるし、そのことばたちもコミュニケーションに用いられているわけではなく、ほとんどが一方的な語りかけ、意見の開陳のような感じでもある。だからもちろん、その語りのひとつひとつをきちんと把握して、全てをインプットしていくことなんてできはしないのだけど、膨大なことばの流れに身を委ねていくことには独特の快感が、たしかにある。

あたりまえだけど、映画っていうのは単に物語を語るための装置、っていうだけのものじゃない。『ウェイキング・ライフ』は、単にストーリーを追うように見ていても、あるいは主人公の心象を追うように見ようとしても、はっきり言ってよくわからない、って感想に落ち着いてしまうだけの映画なような気がする。というか、この映画のおもしろさは、そういうところにはたぶんなくて、とにかく映画の流れに乗ること、流れに乗って映画を受け止めることが、たのしむためには大切なんじゃないかとおもう。散りばめられた膨大なことばたちと、ゆらゆらと歪んだ映像があるだけのこの映画を見て、聴いて、感じていると、自分の思考が絶えず揺れ動かされ、だんだんとスパークしてくるような感覚を、ちょっとだけ味わえる。それが、すごくいい。

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